〔前の画面〕
〔クリックポイント〕 〔最新の一覧〕
〔全て読んだことにする〕〔全て読んだことにして終了〕 〔終了〕
427 新木:甘夏リライト「約束を忘れられて怒っている少女と謝る男」(説明幽霊視点) |
2003/3/20(木)17:53 - 新木 伸 - 1333 hit(s)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「別に、怒ってなんかないよ」
そう言った陽子は――怒っているらしい。それも、すごく。
きちんと語調を選びつつ、嫌味に聞こえるように言っている。
陽子は駅前からここまで、一度も横を見ようとはしなかった。しかも猛烈な速さで歩きつづけている。
「ごめん」
早足で隣を歩きつつ、浩太が何度目かの謝罪を口にする。陽子の怒りのボルテージは彼にも十分伝わっているようだ。普段は明るいその声も、今日ばかりは沈んでいる。
週末の商店街はそれなりに賑わっていた。
通りの中央を早足で突っ切ってゆく二人に、好奇の視線が集まっている。
ベビーカーを押していた若い母親。お好み焼きを売るお兄さん。誰も彼もが、目で二人のことを追っている。二人が通り過ぎてしまってから、ベビーカーを押す手と、コテが鉄板に押しつける手が、ようやく動きを再開する。
「なんで、謝るの? 怒ってないって、そう――言ったでしょ」
文節文節切って話すのは、感情が昂っているときの陽子の癖だ。
「誕生日を忘れるなんて、失礼だったよ。俺のほうはちゃんと祝ってもらったのに」
陽子はまだ浩太を見ようとしない。
「なぁ、悪かったって」
そう言いつつも、浩太は周囲のを気にする素振りを見せていた。恋人を怒らせ、必死に謝る情けない男。まわりからそう見られているとでも思っているのだろう。ベビーカーの母親も、お好み焼きのお兄さんも、二人のことなど、もうきっと忘れているに違いないのだが。
そんな浩太の態度が、陽子には我慢ならないようだった。
「なあ機嫌直して――」
「怒ってないって言ってるでしょ!!」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
〔ツリー構成〕
-
┣【411】 お題その1 2003/3/10(月)21:23 甘夏 (349) |
-
- ┣【415】 削除
-
-
┣【427】 新木:甘夏リライト「約束を忘れられて怒っている少女と謝る男」(説明幽霊視点) 2003/3/20(木)17:53 新木 伸 (1476) |
-
-
-
-
-
┣【428】 お題その2 2003/3/20(木)20:52 甘夏 (755) |
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
〔前の画面〕
〔クリックポイント〕 〔最新の一覧〕
〔全て読んだことにする〕〔全て読んだことにして終了〕 〔終了〕
※ 『クリックポイント』とは一覧上から読み始めた地点を指し、ツリー上の記事を巡回しても、その位置に戻ることができます.