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2004/10/2(土)22:38 - 月白 - 3048 hit(s)
生徒会書記、吉野春香の日常
まだ太陽が空の天辺に昇りきっていない、淡い日差しが強い日照に変わりつつある時間帯。
開け放たれた窓が並ぶ廊下を、少女が一人、緩やかな足取りで進んでいる。
紺のブレザーにグレーのミニスカートという出で立ち。その胸元には、大きく葉を広げた樹のエンブレム。
少女が足を進めるのに従って、ふわりとしたショートカットが微風にそよぐ。
少女がふと立ち止まり、青い空に目を向ける。ソフトな目元がさらに柔らかさを帯び、淡い色の唇が優しい弧を描いた。と、
「あ……あの!」
その少女を、思いきってかけたという響きで、後ろから呼び止める声がした。
少女が振り返る。と同時に、声の主であろう男子が、春香に向かって両手で封筒を差し出してきた。
「ええと……」
少女は、唇に人差し指をあててその男子に軽く笑み、
「二年二組の、タカシくん……だっけ」
柔和に問いかけながら、男子が供している宛名も何も書いてない茶封筒を受け取る。
「はい! きっちり十枚、入ってます!」
そう返答して両腕を出したまま硬直しているタカシを、少女はふむふむとちょっと考えながら見つめた後、
「合格よ」
にっこりと天使のように、微笑みかけた。
ここは、私立港北学園高等部。首都圏から電車に乗って三十分ほどの郊外にある、鷹揚な校風がモットーの進学校だ。
少女の名は、吉野春香。高等部二年の生徒会書記。整った外見以上に、誰に対しても温和な態度が好評の、学園でも人気上位の女子学生である。
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