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1169 1000字課題、12/16、No.2「寸止め」 サカモト |
2004/12/16(木)03:07 - サカモト - 2229 hit(s)
題名:寸止め
沢渡と同じように、黄ばんだ胴着を着た高崎がこっちをにらんでいる。胸には「名古屋学院大学 空手部 高崎尚人」と縫いつけられた赤文字が見える。
「ヒィエーーーーーーーーッ!!」
悲鳴に似た声と共に、高崎が沢渡に向かって真っ直ぐに拳を突き出してきた。
わずかな衝撃と共に、一瞬、日の光で朱色に染まった道場の天井が目に飛び込んでくる。視線を戻すと沢渡が驚きの表情を浮かべていた。
「てめっ、このっ」
「わ、すいません!」
あせった声を挙げて構えを解いた高崎の顔に、沢渡の拳が当たる。拳は、高崎の華奢な顔に当たり、鈍い音をたてた。
先ほどの沢渡以上に、高崎が大きく後ろにのけぞる。さらに、ドアノブを掴むように前へ突き出された足が腹にめり込み、尻餅をついた。
「『すいません!』じゃねぇ! なんでてめぇは寸止めができねぇんだ」
蹴られた腹を痛そう抑える高崎に、いらだちの言葉をぶつけた。蹴り足の向きを手で変えたので、ダメージは薄いはずだ。寸止め練習で、拳が当たった事をごまかそうとしているのは、あきらかだった。
いまさらながら、熱い感触とジンジンとした痺れがアゴから伝わってくる。
「すいません。手が止まりませんでした」
ごまかしをあきらめたのか、高崎が真剣な表情で見上げてきた。もう、部活に入って三年もたつ沢渡も、同じような記憶はある。昔の自分と一瞬、高崎の姿が重なる。
「まぁ、最初のウチはしょうがねぇか」
構えを直し、高崎に自主練習を続けるように促す。
嬉しそうに高崎が立ち上がって、胴着の乱れを直し、構える。
ゴチンィンッ
数分後、再び、沢渡の顔から痛そうな音が響いた。
●一行あらすじ
道場での寸止め練習中をする沢渡と後輩の高崎。勢い余って高崎の拳が沢渡に当たるが、昔の自分を思い出し許す。
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