よみかく分室課題部屋

1180 「緊張」　１０００字課題　Ｎｏ．５　１２/２８　まこと　

2004/12/28(火)14:45 - まこと - 3604 hit(s)

現在のパスワード

「緊張」　１０００字課題　Ｎｏ．５　１２/２８　まこと　

　板野は木製の扉を見あげた。プレゼンテーション室と印字されたプレートが貼られている。
　プレゼンの時間がせまっていた。
「おーい、なんて顔してんだ。ちゃんと朝飯食ってきたのか？」
　新堂京介が扉とのあいだに入ってきた。板野をにらんでくる。新堂はチームのリーダーだ。
　他の先輩まで顔をのぞきこんできた。
　新堂のつり目は冷ややかだ。眉は毛深いのに無理やり整えてある。形は不自然だった。
　どうにもプレッシャーを感じてしまう。
「すみません。オレ……オェッ」
　板野は持っていた資料で顔を隠そうとした。
　しかし強い力で押し下げられる。
　キツイ目がすぐそばにあった。
　風呂あがりのそう快感のある匂いがしてくる。
「板野ぉ、頼むぜ」
　のどがカラカラだった。けれども目はうるうるしてくる。
　新堂のほうはビシッとした表情をしている。耳の向こうに扉が見えていた。予定時間は過ぎている。けれども扉は閉ざされたままだった。
　扉の中は階段状の会議室だ。何度か入ったことがあるのでつくりは知っている。
　そこに人がずらっと座っているのだろう。想像しただけでひたいに汗が浮く。
　目まいがする。動悸がする。ひざがガクガクする。なんとか逃げだす方法はないものだろうか。
「あのぉ、トイレ行っていいっスか」
「なぁに言ってんだ。タコ」
　あきれた顔をした新堂が横を向いた。
「え」　
　新堂の横顔にもみあげがなかった。
　ふさふさのもみあげが消えている。
　いったいどこへ消えたのか。
　そこはつるつるでなにもなかった。代わりに手書きの線が三本引かれている。
　よく見るとピンクの二本線もあった。キズになっている。
　板野の汗が止まった。
　新堂の鼻はツンと上向いていた。切れ長の目には力強さがあった。表情だって決まっている。だがもみあげはないのだ。
　板野の力がふっと抜けた。
　笑いさえこみ上げてくる。
　扉が新堂の背後で大きく開かれた。
　腕組みをした老人が最前列の真ん中に座っている。板野は老人に見覚えがあった。
　全身が汗を噴いた。
「行くぞ、いいか」
　新堂が背を向けた。
「ウスッ！」
　気合をこめた板野の声が新堂の背中へかけられた。

・時系列順にする。時間逆行禁止。
・重文、複文の多用禁止。
・倒置法禁止。
・体言止め禁止。
・気弱語禁止。

・視点の揺れ禁止。
・紋切り型禁止。

・読点禁止。
・冒頭４行で５Ｗ１Ｈを説明する。

５時間半