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1267 1000字課題、06/08、No.4「兄弟喧嘩」 サカモト |
2005/6/8(水)08:56 - サカモト - 3192 hit(s)
1000字課題、06/08、No.4「兄弟喧嘩」 サカモト
水玉模様の壁紙が張られた自分の部屋。窓からは赤い光が差し込んでいる。次郎は何度目かのため息を着いた。原因は、目の前に居る兄・太郎のせいだ。彼は、涙目でスポーツバッグに服を詰め込んでいた。
「やめようぜ。どうせ戻ってくるし」
何度目かのセリフを言った。しかし、効果はない。バッグに服を詰め込む早さが増していた。
「なぁ、ババアの言うことなんて気にスンな」
次郎の手が一瞬止まる。それから、そこら中のモノを詰め始めた。歯ブラシ、ドライヤー、ゲームの景品のヌイグルミ、雑誌、CD、割り箸などがカバンに入っていく。最後には、落ちていた使用済みのティーパックが投げ込まれた。
さっきの母親との喧嘩を思い出した兄が次郎を睨む。
「わかった。わかった」
自分にまで火花が飛んできてはたまらない。仕方なく次郎は両手を上げた。
サラサラの髪の中から、切れ長の目が睨んでくる。大きく開いた目は充血して、赤くなっている。
全体的に色白で、細い手足を持つ次郎だ。華奢な印象とは裏腹に、一度怒ると手が付けられない。
「で、今回の原因は?」
「付き合っている女の子を紹介しなさいだって」
「へぇ。で?」
「五人以上いるけど誰がいいって聞いた」
「そんなに居るのか?」
「うん。貴子でしょ恵子、直美、麻子、香江、芳美にぃ、祐果、あ、明日香もいた」
「いい、もうわかった」
母は潔癖性な性格だった。おまけに、次郎は顔立ちと性格のせいかもてる。女性問題で太郎と母親は、何度もぶつかっていた。
「兄貴」
「兄貴じゃない。太郎ぉ」
「っ。太郎。そりゃ怒るだろ。何回目だよ」
「知らない。いいじゃん別に。誰と付き合っても」
太郎はニッコリと笑いながら言い切った。
(相手も本気じゃないんだ。この男は調子にのってるだけなんだって)
次郎は胸の奥で呟いた。
「だいたい、母さんが潔癖すぎるんだって。今時、そんなことで目くじらたてるってオカシクナイ。次郎がチェリーだってのと同じくらいアリエナイよ」
次郎のこめかみの部分がピクッと動いた。拳がギュギュッと握られる。爪が深々と手のひらに食い込んだ。
黙り込む次郎。
太郎は気付かずに話し続ける。
「あ、で、聞いて。温泉行ってくんだよ。貴子が連れてってくれるの。下呂だよ下呂。もちろん、貴子のおごりね」
側に置いてあったケータイを見せる。ケータイの画面には、貴子からのメールが書かれている。内容は温泉旅行への誘いだった。
「ふざけんなよ。母さんの機嫌直してから行けよ」
「えー、やだよ。なんでそんなことしなきゃいけないの。ほっとこうよ」
もうしらん。
「だめだって。怒らしたの兄貴だろ」
「兄貴じゃない太郎。そんなん怒るのが悪いんでしょ」
「後始末するのオレなんだよ。今日はそうもいかねぇぞ」
太郎の腕をギュッと掴む次郎。
「やだって。はなしてよ」
次郎の腕をガリっとひっかく太郎。スポーツバッグを掴んで駆け出す。部屋の外でドタドタドタとけたたましい音が響いた。
さっき太郎がいた場所に、ポツンとケータイが残されている。
「あ、もしもし、貴子さんですか。はじめまして太郎の弟の次郎です。兄貴、他の娘から呼ばれたんでそっちにいくそうです。下呂だめになったから伝えてといてって言われたんで電話しました」
部屋に冷たい次郎の声が響いた。
一行コンセプト
「母と喧嘩した兄をなだめに行った主人公。兄の態度にムカムカしてきて、家出の邪魔をする」
人物設定
主人公 次郎(高校2年生)
兄 太郎(大学2年生)
起 母親と喧嘩し、家出しようとする太郎。
承 太郎を引き留める次郎。喧嘩の原因を聞く。
転 静かに兄にキレる次郎。兄をムリヤリ引き留めようとする。
結 出て行く兄。兄の携帯を使って家出の邪魔をする。
●禁止事項
・すべて時系列順。時間逆行、回想禁止。
・重文、複文禁止。
・長文禁止。(31文字以上)
・倒置法禁止。
・体言止め禁止。
・難解な字禁止
・気弱語禁止。比喩禁止。
・紋切り表現禁止。
・説明的台詞禁止。
・4行以内に5W1Hを確定。
・指示語禁止。接続詞禁止。
・記号禁止。(……、――、!、?、ハートマーク等)
・キャラの注目していない物事を書かない。
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