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1316 津荒 1000字課題 No.2「うおっ」 |
2005/8/2(火)23:30 - 津荒夕介 - 5156 hit(s)
1000字課題 No.2「うおっ」
津荒夕介 2005年8月2日
高校最初の授業は、まぁまぁだったな。
吉岡修治はそう評価した。
数学教師は手馴れていた。自己紹介で雰囲気を明るくしてから、プリントを配る。簡単な数字ゲームが印刷されていて、それを生徒同士で遊ばせた。単純な作戦だったが、効果はあった。
その証拠に教室を見渡すと、先ほどのゲーム相手と話しているやつがけっこういる。
視線は小さな男子で止まった。机に顔を伏せているそいつは、中学時代からの友達で純也という。
すこし苦笑して、吉岡は席を立った。
純也は昨日、隣の席の倉田に惚れたと騒いでいた。大方緊張して上手く喋れなかったのだろう。
でかい身体を斜めにしたりして机の間を進む。ケータイ番号の交換でうるさい女子集団は迂回した。
「よっ、大丈夫か」
「あ、よっちゃん……」
純也は顔を上げ、弱々しく笑った。意外だった。泣いている可能性も覚悟していたのだが。
まあ……、失敗したのには変わりないだろう。
「気にすんな。第一印象なんて、これから挽回すりゃいいんだ」
「あ、いや、それよりさ、俺、わかんないんだ」
予想外の言葉に吉岡は少し混乱したが、すぐに頭をリセットした。
「なにがだ?」
倉田さんって――とまで言って、純也は固まった。
おいどうした。倉田がなんだ? そう言おうとしたら、
「どいて」
耳元で女の声が聞こえた。
背筋が凍った。声のトーンが低かったからではない。まったく気配を感じなかったからだ。
慌てて前に出て、振り向く。倉田が立っていた。彼女はクククと、小さく笑っていた。
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