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1074 800字、短編あらすじ。 8/26 No.3「機械の道」 春日秋人
2004/8/26(木)09:14 - 春日 - 1450 hit(s)

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「機械の道」


 「少年人形」であるベスタは、ある日、自分が廃棄されることを知った。理由は簡単。ご主人が新しい機械人間を購入するのだ。古いものは捨てられてしまう。
 ベスタは自分たちのような機械人間たちのネットワークで囁かれる伝説の国――「機械公国」を目指して旅に出ることを決意する。しかし、ご主人の目を盗み出発したのはいいが、どっちにいけばいいのか分からない。道端で出会った「少女人形」に尋ねると、彼女は笑いながら知っていると答えた。「少女人形」――キャスリンの案内でベスタは道を行く。途中、自分と同じ「少年人形」が錆を浮かせて倒れていた。動けなくなって捨てられたのだという。ベスタは悲しげに目を細めると、彼を背負った。山をひとつ越えた辺りに村があり、その夜はそこで休むことになった。
 ベスタはご主人のもとから持ち出した小額のお金を使って、動けない「少年人形」をメンテナンスベットに寝かせた。一晩すれば、少しは動けるようになるかもしれない。ベスタ自身はそのベットの脇に腰を下ろして、待機モードに入っていた。金属がへしゃげた音に、彼のセンサーが反応して、目が覚める。通常モードに移行したベスタの目は、そこに信じられないものを見た。ベットの上で「少年人形」のボディーがバラバラにされていた。そして巨大なハンマーを手にしたキャスリンが、「少年人形」の頭部を踏みつけて、狂ったように笑っていた。どうしてこんなことをするんだ、とベスタは彼女に理由を尋ねた。キャスリンは、笑いながら自分は処理屋なのだと答えた。主人の手から離れた機械人間を処理するのが彼女の任務であり、「機械公国」とはそんな野良「人形」たちを誘い込む罠であった。ベスタは絶望のうちに逃げ出し、走り続け、ついには動けなくなってしまった。
 動かなくなったベスタのもとにひとりの老人が訪れる。涙を流す老人の横には、ベスタに似た顔立ちの「少女人形」が立っていた。


一行あらすじ
 自分は捨てられるのだと思った機械が、希望を求め旅に出て絶望を知るが、最後に報われる話。


〔ツリー構成〕

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