「立ち向かう勇気」


８００字あらすじ

　魔術学校中等部二年のおちこぼれ、アッシュは気弱な少年だ。その日も放課後、人気のない図書館の奥に連れ出され、いじめを受けていた。学年主席の魔術使い、ローラもまた、率先していじめを行っていた。アッシュが彼女に押され本棚にぶつかると、本が落ちてきて、開いた。ふたりは本に吸い込まれた。
　ふたりは洞窟の中にいた。アッシュはこうなった原因をローラに責められて、謝ることしかできない。洞窟は暗い。強がってはいたが、ローラも怖がっていうようだった。ふたりで出口を探すうちに、アッシュは、今まで怖くてしかたなかったローラを――心細そうにしている姿を見たせいか、女の子として意識するようになる。このままずっと洞窟を出られなければいい、とアッシュは思った。
　大きな地底湖たどり着くアッシュたち。その中心が出口になっているらしかった。ローラは呪文を使い、湖面を走り出した。泳ぐこともできないアッシュは、ひとり取り残され、裏切られた気持ちになる。その時、怪物がローラに襲いかかった。怪我を負い、水の中に落ちて、ローラは見えなくなってしまう。アッシュはしばらく葛藤していたが、彼に助けを求めるローラの声を聞くと、無我夢中で湖に飛び込んだ。溺れてしまう。意識を失う寸前に、水中で息ができるようになっていることに気づく。同時に、ここが彼の願望を叶える世界だとわかる。ここにいれば、いじめられることもない。そんな誘惑にアッシュは固まった。しかし、水の中で懸命に怪物と闘うローラの姿に、自分の考えが間違っていることを悟る。逃げているばかりで立ち向かわなければ、なにも解決しないのだ。アッシュは怪物に立ち向かった。必死になって噛み付いていると、怪物は消えた。
　ローラは礼を言い、アッシュにこれまでのことを謝罪した。が、彼のせいで怪物が出現したことを知ると、さっさと出口から出て行ってしまう。アッシュは、すぐに後を追った。


４００字あらすじ

　魔術学校中等部２年のおちこぼれ、アッシュは気弱な少年だ。その日も放課後、人気のない場所に連れ出され、いじめられていた。優秀な魔術使い、ローラもまた、いじめに参加していた。その時偶然にも魔法の本がふたりを吸い込んでしまう。
　吸い込まれた先――暗い洞窟。ローラにこうなったことを責められ、アッシュは謝ってしまう。強がってはいたが、暗い洞窟にローラは怖がっていた。ふたりで出口を探すうちに、アッシュはローラに好感を持つようになった。アッシュはこのまま出口が見つからなくていいとさえ思うようになる。
　出口。ローラはアッシュをおいて先に行こうとし、怪物に襲われた。アッシュは今いる世界が自分の願いを叶える力を持っていると知る。外に出ることをためらう。しかし考えを改めると、ローラを助けた。
　立ち向かうことを知った彼は、迷うことなく現実世界に帰っていった。

〔ツリー構成〕

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