よみかく分室課題部屋

1252 白石　１０００字課題　「迷惑なメール」

2005/5/21(土)12:24 - 白石　尚 - 8415 hit(s)

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「迷惑なメール」

　六時間目の終業間際に、真希の携帯にメールが入った。制服のポケットから携帯を取り出して、机の下でメールを開いた。母親からだ。
『今日、いとこの春也がこっちに寄るから、みんなで外食をする。春也が真希に会いたがっているので、一緒にくるなら、学校に迎えに行く』
と、書かれてあった。
　春也かあ。真希は気持ちがはなやいだ。
　二つ年上のいとこの春也は、親戚中の自慢のたねだ。明るいし、かっこいいし、なんと言っても頭がいい。今は下宿して、都心の国立大学に通っている。二年以上会っていないから、真希は久しぶりに会いたいなあと思った。
　しかし今日は、高校の一斉下校の日で、洋平と一緒に帰る約束だ。二人とも普段は部活が忙しいから、こんな日でないと一緒に帰れない。
　真希は悩んだ。そうだ、洋平も誘ってみよう。家にも何回かきたことがあるので、家族とは顔見知りだ。
　真希は、母親に返信メールを送った。
『洋平も一緒に行っていい？』
　すぐに返事が返ってきた。
『いいよ』
　でも、洋平はうんと言うだろうか。授業が終わると同時に、真希は洋平のクラスに向かった。教室のうしろの出入り口から、目立たないように洋平を探す。洋平は、真希を見つけて、廊下に出てきた。人前で話しかけると、いつも不機嫌な顔をする。
「なんだよ。待ち合わせは、学校下のバス停だろ」
「うん、実はね」
　真希は手短に説明した。
「俺は行かねえ。行きたいなら、お前ひとりで行っていいぜ」
　洋平は、プイと怒って教室に戻った。
　なに腹かいてんのよ、まったく扱いにくいんだから。真希は思った。しかし一方で、最初から母親に断るべきだったと後悔した。洋平には、もっと理解して欲しい気もするが、それが男心ってもんだと、この頃なんとなくわかってきた。多分洋平は、見たこともない、いとこの春也に嫉妬したんだろう。
　真希は教室に戻ると、すぐに母親にメールを打った。
『やっぱり今日はパスします。洋平との約束があったんだ。春也兄ちゃんによろしく言って下さい。今日は九時までに帰ります』
　ホームルームが終わるとすぐに、真希はバス停に飛んで行った。三十分ほど待っていると、洋平が、怖い顔をして近づいてきた。
「行かなかったのか」
「うん」
　洋平は相変わらずムッとしているが、上を向いて、口笛を吹いていた。

「一行コンセプト」
　ぶっきらぼうな男の子と、ちょっと大人になりつつある彼女

「構成メモ」
真希には洋平との先約がある
急用ができるが、それは、真希の気持ちひとつだ。
真希の中途半端な対応に、怒る洋平。
反省して、洋平を選んだ真希。

「その他」
いつ：六時間目の授業中
どこで：学校で（教室？）
だれが：真希は
なにを：メールを
どうした：受け取った
どのような理由で：いとこが来るから、食事しようという理由で