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1251 「宝物のハンカチ」 短編の転 5/19 まこと |
2005/5/19(木)18:31 - まこと - 2754 hit(s)
「宝物のハンカチ」 短編の転 5/19 まこと
サツキはハンカチを抱きしめた。ハンカチはのりがきいている。かたさのある手触りだった。
「ありがとう、大事にするね」
和浩がくれた。それがなによりのプレゼントだった。
「おおげさだな」
和浩が手を鼻の頭に持っていく。照れたときのクセだ。クセは他にもある。緊張すると髪を触る。退屈すると爪をはじく。姉に怒られると一瞬だけ子供っぽい顔をする。
和浩のことならなんでも知っている。けれど和浩はサツキの想いに気づいていないだろう。
あらためてハンカチを見た。それをテーブルに広げた。木綿のハンカチだった。色は淡いベビーピンクだ。濃いピンクへと微妙にグラデーションがかかっている。ぼかしの入ったものが好きなのだ。
「実は、ね。探し物をしてるんだけど、さ」
口調がはっきりしなかった。
「ハンカチ、なくしちゃったんだよ。木綿でね、色はそう、薄いみずいろなんだ」
サツキの手が一瞬だけ止まった。ほんの一時だ。
――あれだ。どうしようバレたのかな。
頭にパステルカラーのハンカチが思い浮かんだ。みずいろのハンカチだ。正直なところ何日も前から使っていた。手になじんできている。けれど家にはない。ハンカチは学校にある。ロッカーの中だ。箱に入れてしまってある。
「知らない」
サツキはハンカチを丁寧にたたんでいった。
「そっか、そうだよな。ほら、サツキちゃん木綿のハンカチいっぱい持ってるだろ。色も好きそうなヤツだし。まぎれちゃったかなぁとかさ……ごめん。あ、いや、疑ったわけじゃないんだけど、その」
声のトーンが高めになった。手振りをまじえて説明してくる。和浩から目をそらせた。そうして手元のハンカチをいじくった。手になじまない感触だった。手触りがざらざらとしている。
「誕生日のプレゼントなんだ。めずらしく亜紀がくれたんだよね」
サツキの手が止まった。
――違う。あれはプレゼントじゃない。ジュースの景品なの。
手をハンカチから離した。
――プレゼントなんか用意する人じゃないでしょ。これでいいやなんて言う人でしょ。あたしならちゃんとしたプレゼントをあげるのに。好みだってわかってるのに。休みの日だって和浩さんより早く起きられるのに。あたしなら、あたしのほうが……。
。
息がつまった。胸が苦しくなる。
サツキはハンカチに手をのせた。そして押し出した。
――いらない。新しいハンカチなんかいらない。あたしが欲しいのはこんな硬いハンカチじゃない。
伸ばした両手に顔を伏せた。
2時間半
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「一行コンセプト」
義兄への想いを隠そうとしていた妹が気持ちを抑えられなくなるお話。
「構成メモ」
義兄への気持ちを黙っている。我慢していることを書く。しかし義兄のひと言で決壊してしまう。
※我慢しているところをちゃんと書く。義兄をヤな奴にしない。
「その他」
人物設定
主人公:藤村 サツキ 女子高生。和浩のためならなんでもしてあげたい。
義理の兄:和浩 姉の旦那さん。職場の後輩だった。温和。女のきょうだいがなく、妹としてかわいがってくれる。
(姉 範子 一見がさつ。押さえるとこは外さない。妹の気持ちに気づいている)
(補足事項など)姉はハンカチのからくりに気づいている。夫に妹の嗜好をそれとなく教えてある。鈍感な夫ならストレートに訊ねてしまうだろうと思ってのこと。予防線。
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・時系列順にする。時間逆行禁止。
・重文、複文禁止。
・倒置法禁止。
・体言止め禁止。
・気弱語禁止。比喩禁止。
・読点禁止。
ただし、セリフでは使用できる。
○「気弱語」禁止ワード
ような/ようだ/ように/ようで
まるで、あたかも、ごとく、さながら、みたいに
すこし、ゆっくり、わずかに、ちょっと
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