前の画面〕 〔クリックポイント〕 〔最新の一覧〕 〔全て読んだことにする〕〔全て読んだことにして終了〕 〔終了

1072 800字、短編あらすじ。 8/26 No.1「人魚SOS」 春日秋人
2004/8/26(木)05:52 - 春日 - 1068 hit(s)

現在のパスワード


「人魚SOS」


 日曜日、小学6年の浩太は寂れた堤防でひとり釣りをしていた。強い引きに喜ぶ浩太。釣り上げたのはしかし魚ではなく――人魚だった。身長40センチ弱の人魚を前に「育ってないから」という理由でリリースしようとする浩太。しかし彼女は、これが12歳の人魚の標準であり、胸のことを言ったのなら殺す、と言って抵抗してくる。
 浩太が家に帰ると、時刻は夕方。両親にばれないよう二階、自分の部屋へ。物置から掘り出した水槽に水をはると、そこに人魚を入れた。狭いと文句をたれる彼女――マナに、浩太はとにかく事情を聞くことにした。話によると、いま海では大変なことが起こっていて、彼女は必死にそこから逃げてきたのだという。浩太は何が大変なのかと尋ねたが、彼女はそれについて教えてはくれなかった。とにかく、ぜったい海には帰りたくない。強く、そう言っていた。
 次の日。浩太が学校から帰ると、マナの姿が消えていた。なぜか窓が開いており、窓枠には鱗が落ちていて、光を反射していた。浩太は自転車にまたがると、坂を一直線に海を目指す。まず、海の上で旋回するカモメの群れが見えた。続いてその下、誰かが溺れているような水しぶきが立っていた。気づくと浩太はペダルを漕ぐ足にさらに力を込めていた。堤防の上を猛スピードで走り抜け、水しぶき向かって飛び込んだ。空中で自転車を蹴り、なんとか手が届く。そこにいたマナの身体を胸に抱き、すぐさま陸に向かおうとする浩太。しかしカモメに頭を突付かれ、足には何かが絡んできて、上手く泳げない。溺れかけたその時、マナがなにかを叫んだ。浩太にはなにも聞こえなかったが、次の瞬間カモメが次々と海に落ちていき、足に絡んでいた何かも離れていった。マナは気を失っていた。
 夜。水槽の中で目を覚ましたマナは浩太に礼を言い、浩太はどういたしまして、と応えた。

 人魚に出会った少年が、人魚の気持ちに応えて、人魚を助ける話。


〔ツリー構成〕

【1071】 春日。800字で短編あらすじ。根っこ。 2004/8/26(木)05:46 春日 (8)
┣【1072】 800字、短編あらすじ。 8/26 No.1「人魚SOS」 春日秋人 2004/8/26(木)05:52 春日 (1610)
┣【1073】 800字、短編あらすじ。 8/26 No.2「一度目の勇気」 春日秋人 2004/8/26(木)07:51 春日 (1700)
┣【1075】 800字、短編あらすじ。 8/28 No.2「一度目の勇気」リライト版――「立ち向かう勇気」 春日.. 2004/8/28(土)05:38 春日 (2398)
┣【1082】 短編あらすじ。 8/28 No.2「一度目の勇気」リライト版――「立ち向かう勇気」200字、100.. 2004/8/30(月)23:21 春日 (1515)
┣【1074】 800字、短編あらすじ。 8/26 No.3「機械の道」 春日秋人 2004/8/26(木)09:14 春日 (1714)

前の画面〕 〔クリックポイント〕 〔最新の一覧〕 〔全て読んだことにする〕〔全て読んだことにして終了〕 〔終了

※ 『クリックポイント』とは一覧上から読み始めた地点を指し、ツリー上の記事を巡回しても、その位置に戻ることができます.