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1073 800字、短編あらすじ。 8/26 No.2「一度目の勇気」 春日秋人
2004/8/26(木)07:51 - 春日 - 1381 hit(s)

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「一度目の勇気」


 放課後。中等部2年、魔術学校の落ちこぼれ――アッシュがいつものようにボロボロにされてトイレから出てくると、そこには彼のクラスの主席魔術使いローラが待ち構えており、こう言った。「来なさい」
 ローラに連れてこられたのは、魔術学校の大図書館。ローラは666万冊の蔵書の中から一冊の本を選び出すと、目的のページを広げて呪文を唱えた。いつのまにか、アッシュは湿った洞窟の中にいた。唯一の明かりである鬼火を従えたローラがずんずん奥に進んでいくので、仕方なくアッシュもその後を追った。しばらくして、振り返ることなく、ローラが話しかけてきた。彼女は彼の不甲斐なさにひどく腹を立てているようだった。アッシュとしては、ただ、うな垂れるしかなかった。どうにかしないといけない。それは分かっているのだが、変えられないのだ。
 やがて、ふたりは大きな空洞に辿り着いた。巨大な地底湖。中央には島あり、なにかが淡く光っていた。ローラはアッシュにそこで待っているように言うと、短い呪文を唱え、水の上を歩き始めた。ひとりになったアッシュは怯えた視線で辺りを見回すうちに、ふと、地底湖の天井に黒い影が揺らめいているのを見つけた。最初はなにか分からなかったが、「そいつ」の目がギョロリと動いた瞬間、アッシュは叫んでいた。ローラが顔を上げるのと、大きな蜥蜴に見える「そいつ」が彼女に襲いかかったのは、同時だった。ローラは蜥蜴ともつれ合い、水音とともに沈んでいった。無我夢中でアッシュは湖に飛び込んだ。湖底ではローラが左腕に血を流しながら右腕で結界を張り、蜥蜴の爪をしのいでいた。だが耐え切れずに結界は消える。爪が振り下ろされる。必死な形相で、アッシュは蜥蜴の足に噛み付いていた。次の瞬間、目の前が真っ白になったかと思うと、アッシュは意識を失った。
 夢を見た。夢の中でローラは、アッシュに淡く光るペンダントをかけてくれる。


一行あらすじ
 自分に自信の持てない少年が、女の子のピンチに直面し、勇気を持って立ち向かった話。


〔ツリー構成〕

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