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1279 白石さん 1000字課題 「遅刻の理由」リライト 視点統一リライト |
2005/6/24(金)10:20 - サカモト - 2014 hit(s)
白石さん 1000字課題 「遅刻の理由」リライト 太郎視点版
強烈な苦みが口の中に広がった。
「うっ、がぁ、げぼ、おええぇぇ」
洗面台に、泡状の白い液体をはき出した。太郎は慌てて口をゆすぐ。
洗顔クリームの苦みはなかなか取れない。
クリームの付いた歯ブラシを、太郎は睨んだ。
「姉ちゃん、また、洗顔クリーム置いたなぁ」
似た模様の洗顔クリームが、歯磨き粉の隣に置かれている。
「たやったぁ? だから、確認しろって言ってるでしょ」
廊下の向こうから、花子が聞こえてくる。
「確認しろじゃなくてさぁ。この前、頼んだのにぃ」
もう一度口を濯ぎ、洗面所を後にする。
食堂に飛び込み、姉を恨めしげに見つめた。食堂で、花子はゆっくりと箸を動かしていた。
「もぉ、頼むから洗顔クリームは戻してよ」
ピタッと箸が止まる。切れ長の目が上がり、太郎をねめつけてくる。
「なに言ってんの。それくらい、確認すれば済むことでしょ。頭良いくせに。ホント、なんでそんなに抜けてるの。そんなんじゃ、これから先、やってけないよ。ちょっと、聞いてる?」
「わかんないって。良く似てるんだもん」
花子は更にたたみかけてきた。
「普通はわかるの。成績良くても、ソレじゃやばいからね」
「わかったよ」
太郎は渋々頷く。
「そ、じゃ、早く食べちゃって」
花子が太郎の席を指す。さっき用意してくれたのだろう。テーブルの上には、よそったばかりのご飯茶碗が置いてあった。
席に着く。
箸を止めた花子が、みそ汁をよそって渡してくれた。
「熱いよ。気をつけて」
「あ、ありがとう。うあっちぃ」
お椀は、熱いを通り超して痛かった。
思わず手を離す。テーブルの上に、勢いよくみそ汁がぶちまけられる。
「ちょっとぉ。ああ、もう」
慌てて、布巾を取る花子。彼女はテーブルから床にこぼれようとする汁をせき止めた。太郎も、慌ててお椀を起こす。
「ご、ごめん」
「いいから、早く机の上拭いて」
「う、うん」
慌てて、太郎が流しにあった布巾を取った。
もうこぼさない。慎重に。などと考えながら机の上を拭く。
おかずの載った食器をどけて布巾を動かした。テーブルの上には、食器の他にみそ汁が入った鍋も載っている。鍋の周りは特に慎重にやるつもりだった。
「鍋、気をつけんのよ」
「大丈夫だよ、ほら」
花子を見て返事を返す。
その瞬間、注意がそれた。勢いよく、鍋に布巾を持った手が当たる。
「あちぃーーーーー」
熱さより痛みを感じ、手を引く。
手が鍋の取っ手をひっかけた。
バシャァっと盛大にみそ汁がこぼれてしまう。
「ちょっと、ちょっと、ちょっとぉ」
姉の声が聞こえる。太郎は冷めた頭で、今日は遅刻だなと考えた。
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白石さん 1000字課題 「遅刻の理由」リライト 外視点版
顔をしかめる太郎。
「うっ、がぁ、げぼ、おええぇぇ」
洗面台に、泡状の白い液体がはき出される。太郎は慌ただしく口をゆすいだ。
何度もうがいを繰り返す。
クリームの付いた歯ブラシを、太郎が睨んだ。
「姉ちゃん、また、洗顔クリーム置いたなぁ」
似た模様の洗顔クリームが、歯磨き粉の隣に置かれていた。
「たやったぁ? だから、確認しろって言ってるでしょ」
廊下の向こうから、花子が叫び返す。→外
「確認しろじゃなくてさぁ。この前、頼んだのにぃ」
太郎が、もう一度口を濯ぎ、洗面所を出て行く。
食堂に飛び込み、姉を恨めしげに見つめる太郎。食堂で、花子はゆっくりと箸を動かしていた。
「もぉ、頼むから洗顔クリームは戻してよ」
ピタッと箸が止まる。切れ長の目が上がり、太郎をねめつけた。
「なに言ってんの。それくらい、確認すれば済むことでしょ。頭良いくせに。ホント、なんでそんなに抜けてるの。そんなんじゃ、これから先、やってけないよ。ちょっと、聞いてる?」
「わかんないって。良く似てるんだもん」
花子は更にたたみかけた。
「普通はわかるの。成績良くても、ソレじゃやばいからね」
「わかったよ」
太郎が憮然とした表情で頷く。
「そ、じゃ、早く食べちゃって」
花子が太郎の席を指す。テーブルの上には、よそったばかりのご飯茶碗が置いてあった。
太郎が席に着く。
箸を止めた花子が、みそ汁をよそって太郎に渡した。
「熱いよ。気をつけて」
「あ、ありがとう。うあっちぃ」
熱さのため、太郎が悲鳴を上げてお椀から手を離す。テーブルの上に、勢いよくみそ汁がぶちまけられた。
「ちょっとぉ。ああ、もう」
慌てて、布巾を取る花子。テーブルから床にこぼれようとする汁をせき止める。太郎は、慌ててお椀を起こす。
「ご、ごめん」
「いいから、早く机の上拭いて」
「う、うん」
流しにあった布巾を取る太郎。
彼は慎重に食器などを避けながら、机の上を拭いていく。
太郎が、注意深く布巾を動かす。テーブルの上には、食器の他にみそ汁が入った鍋も載っている。
「鍋、気をつけんのよ」
「大丈夫だよ、ほら」
太郎が花子を見て返事を返す。
その瞬間、鍋から太郎の視線がはずれた。鍋に、布巾を持った手が当たる。
「あちぃーーーーー」
勢いよく、手を引く太郎。
手が鍋の取っ手をひっかけた。
バシャァっと盛大にみそ汁がこぼれる。
「ちょっと、ちょっと、ちょっとぉ」
花子の声がひびく。太郎は盛大にため息を着き、壁に掛かった時計を見る。
いつも彼が登校する時刻を回っていた。
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太郎視点版は三人称太郎視点から
外視点版は太郎の気持ちがわからない中間地点から
それぞれ書いてあります。
よろしくお願い致します
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