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1273 白石さん 1000字課題 「遅刻の理由」リライト |
2005/6/18(土)09:09 - サカモト - 3796 hit(s)
強烈な苦みが口の中に広がった。
「うっ、がぁ、げぼ、おええぇぇ」
洗面台に、泡状の白い液体がはき出される。太郎は慌てて口をゆすいだ。しかし、洗顔クリームの苦みはなかなか取れなかった。
クリームの着いた歯ブラシを、太郎が睨んだ。
「姉ちゃん、また、洗顔クリーム置いたなぁ」
似た模様の洗顔クリームが、歯磨き粉の隣に置かれていた。
「たやったぁ? だから、確認しろって言ってるでしょ」
廊下の向こうから、花子が叫び返す。
「確認しろじゃなくてさぁ。この前、頼んだのにぃ」
もう一度口を濯ぎ、洗面所を後にする。
食堂に飛び込み、姉を恨めしげに見つめる太郎。食堂で、花子はゆっくりと箸を動かしていた。
「もぉ、頼むから洗顔クリームは戻してよ」
ピタッと箸が止まる。切れ長の目が上がり、太郎をねめつけた。
「なに言ってんの。それくらい、確認すれば済むことでしょ。頭良いくせに。ホント、なんでそんなに抜けてるの。そんなんじゃ、これから先、やってけないよ。ちょっと、聞いてる?」
「わかんないって。良く似てるんだもん」
花子は更にたたみかけた。
「普通はわかるの。成績良くても、ソレじゃやばいからね」
「わかったよ」
渋々頷く太郎。
「そ、じゃ、早く食べちゃって」
花子が太郎の席を指す。さっき用意してくれていたのだろう。テーブルの上には、よそったばかりのご飯茶碗が置いてあった。
席に着く太郎。箸を止めた花子が、みそ汁をよそって渡してくれる。
「熱いよ。気をつけて」
「あ、ありがとう。うあっちぃ」
お椀は、熱いを通り超して痛かった。思わず手を離す太郎。テーブルの上に、勢いよくみそ汁がぶちまけられる。
「ちょっとぉ。ああ、もう」
慌てて、布巾を取る花子。テーブルから床にこぼれようとする汁をせき止める。太郎は、慌ててお椀を起こす。
「ご、ごめん」
「いいから、早く机の上拭いて」
「う、うん」
慌てて、流しにあった布巾を取る太郎。もうこぼさない。慎重に。などと考えながら机の上を拭いていく。
おかずの載った食器をどけて布巾を動かした。テーブルの上には、食器の他にみそ汁が入った鍋も載っている。鍋の周りは特に慎重にやるつもりだった。
「鍋、気をつけんのよ」
「大丈夫だよ、ほら」
太郎が花子を見て返事を返す。その瞬間、注意がそれていた。勢いよく、鍋に布巾を持った手が当たる。
「あちぃーーーーー」
勢いよく手を引く太郎。手が鍋の取っ手をひっかけた。バシャァっと盛大にみそ汁がこぼれる。
「ちょっと、ちょっと、ちょっとぉ」
姉の声がひびく。太郎は冷めた頭で、今日は遅刻だなと考えた。
白石さん
一行コンセプト:弟の失敗を尻ぬぐいする主人公
サカモト起承転結
起:弟が何か失敗する
承:弟が再び失敗する
転:弟の尻ぬぐいをしてやる
結:更に弟が失敗する
太郎:弟
花子:姉
・すべて時系列順。時間逆行、回想禁止。
・重文、複文禁止。
・長文禁止。(31文字以上)
・倒置法禁止。
・体言止め禁止。
・難解な字禁止
・気弱語禁止。比喩禁止。
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