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2005/8/15(月)00:59 - 津荒夕介 - 4962 hit(s)
1000字課題 No.4「独り、海」
津荒夕介
弘は防波堤で、肩を落とした。
民宿から歩いて十五分もかかった。神社めぐりを終えて動かなくなった賢吾達を置いて来たというのに。
目的地の砂浜は、小さくて、しかも誰も居なかった。
唇を尖らせながら、防波堤の階段をおりると、海藻が散らばっていた。その先に砂浜がある。夜になると、海藻の辺りまで海があがってくるのだろう。かなり小規模な砂浜だ。
湿った砂を歩いて、海に近づく。空き缶やらペットボトルを幾度も踏み越えた。
やがて景色が広がった。斜め左を隠していた防波堤が終わったのだ。
遠くに砂浜を見つけた。カラフルな水着やパラソルが、パラパラと見える。海の家まであった。
もう、笑うしかない。今からあそこに行くのは無理だろう。金もなければ、時間もない。
でもまあ……な。
だからって帰るのは、悔しすぎる。せっかくだし。
弘は頷いて、うっとうしいシャツを脱いだ。下はトランクスタイプの海水パンツをはいて来たから、これで準備は完了だ。荷物をまとめて、さっそく海に足を踏み入れた。
足を暖かい水が包み、指が砂をつかむ。
ぞくっとした。なかなか、いいじゃないか。
調子に乗って、ザブザブ音を立てながら、沖に向かう。
水面の辺りは暖かいが、下は冷たい。足元に不細工な小魚を見つけて、なんだか笑えた。
ついに肩の辺りまでの深さまで来て――弘は止まった。
岸を見ると、荷物が小さく見える。やけに遠くまで来た気がした。
両手を水平にのばし、身体の力を抜く。波に揺られながら、髭剃りのあとが塩水で痛いぜ、と思った。
それから、明日は絶対に皆で海に行こう、と決めた。
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