よみかく分室課題部屋

979 １０００字課題　5/26分　NO.4「旅行の前に　その２　（独白ＭＡＸ）」

2004/5/27(木)19:32 - 白猫 - 6807 hit(s)

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（入学式がおわったばっかりなのにもう旅行なんてなあ。いくらなんでも、早すぎだよなあ。しかも泊り込み。確かに泊まりの旅行ならクラスメイトと早く仲良くなれるかもしれないけどさ。いきなり初対面に近い人と同じ部屋に泊まるなんて不安にならないほうが無理だってば。大体、この旅行休んじゃったら仲良くしにくいんだろうかｒ、休むわけには行かないし。まあ、うじうじ悩んでてもしょうがないか。明日も早いしさっさと寝よ）
　布団を敷き、その上に寝転がる。
（やっぱり布団は気持ちいいなあ。）
　僕はそう思いながら深い眠りに落ちていった。
　次の日、僕は携帯のアラームが鳴る前に起きた。携帯を手にとって液晶に目を向ける。
（まだ、５時半か……。もう一回寝ようかなあ）
（…………）
（寝れないから起きようっと）
　布団からむくりと体を起こす。リビングに下りて親が作ってくれた朝ごはんを食べ、自室に戻ってパソコンのスイッチをつけた。
（まだ、時間あるからな。サイトでも巡回しよう。しばらくパソコン触れないし）
　時間になったので、重い荷物を肩にかけ階段を降りリビングを通り抜ける。玄関で靴を履く。
「いってきまーす」
「いってらっしゃーい」
　母親に挨拶をし、徒歩で駅に向かった。
（今日もいい天気だ。しかし、やっぱり不安だよなあ。もし寝てるときに携帯とかで恥ずかしい写真を撮られて脅されたりとか、部屋でサンドバックにされるかとかされたらどうしよう。さすがにそこまでする奴は絶対、いやきっと、多分……、いないとは思うけど。まあ、なるようになるはず。っていうか、なるようにしかならないんだよね）
　そんなことを考えているうちに駅が見えてきた。階段を上がり真新しい定期で改札を通る。ホームで電車を待った。
（次の電車は五分後かあ。しばらく待たなきゃいけないや。暇だなあ……）
　ボーっとしていると次の電車が来た。ドアが開き、端の席に陣取る。電車の様子に違和感を感じたので辺りを見回すと、なにやら不穏な空気をまとった少年とおじさんが目にはいった。
（何か変だな。お、あれは確かうちのクラスの黒田じゃないか。なんで中年のおじさんに一方的に何かを言われているんだろう？ふむふむ。どうやら黒田がおじさんに荷物をぶつかけたけど謝らなかったのがいけないらしいな）
「君は人にぶつかっておいて、謝りもしないのかね」
「……」
「無視はないだろう。人にぶつかったら、まず謝るんだ」
「……」
（何か言われてるのに全て黙殺するなんてある意味凄いな。僕にはとても真似できないや。しかし、これはやっぱりうるさいよな。他の客にも迷惑にもなるし）
　自分で自分の積極的な行動に驚いたが、次の駅で黒田とその荷物を引きずって降りていた。
（うぉ、僕は一体何してるんだ。黒田とはまだ話したことだってないのに）
　二人して近くの薄汚れた水色のベンチに座った。
「……」
「……」
（普通、あんな風に連れ出されたら、何か言ってくるだろ。何で無言なんだよ。ああ、もういいや。僕からしゃべれば済むことだし）
「ねえ、どうして何も言わなかったの？」
「……めんどくさかったから」
（ふう、やっとしゃべってくれた。しかし、めんどくさいって凄い理由だな）
「あのまま騒がれるほうがめんどくさくない？」
（それに他の客に迷惑だし）
「別に。無視してればそのうちあきらめると思ってたし。お前も俺のことなんかほっときゃよかったのに」
（だから、そういうわけにはいかないんだってば）
「どうして君を連れ出したのかは、僕にも分からないんだ。それよりも、君同じクラスの黒田君でしょ？」
（とりあえず今は、本当のこと言うと話がこじれそうだし）
「そうだ。しかし、お前は変わった奴だな。普通ならほっとくようなことに首つっこんで、自分でも理由が分からないとかいってやがるし」
　そう言ってクックックと笑っていた。
（いや、お前のほうが変わってるだろ。普通の人はあの場面で無視できないだろ）
「僕は佐伯一っていうんだ。これから、よろしくね」
「佐伯っていうのか。俺も実はお前が最初無言で俺を連れ出したから少し不安だったんだ。こっちこそよろしくな」
（不安ならなんか話してくれよ。こっちも死ぬほど不安だったんだから。でも、まあ仲良くなれそうで良かった。今回の行動には自分で驚いたけど、結果的には良かったかな）
　電車が来た。二人で立ち上がり電車に乗った。