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1295 1000字課題、07/06、No.5「物乞いの対処法」 サカモト(1004字) |
2005/7/6(水)16:04 - サカモト - 2244 hit(s)
題名:物乞いの対処法
地下鉄の車体の揺れを感じる。窓の外を、いくつもの蛍光灯が通り過ぎる。
太郎の下半身には少女の頭がくっついてい。彼女の両手は、足をしっかり握っている。物乞いだと、彼女の垢まみれの肌が、無言で語っていた。
「○○○○」
彼女が異国の言葉をしゃべる。言葉はわからないが、太郎には伝わった。少女の目が、真っ直ぐ見つめてくる。唇には血が黒くこびり付いている。目をそらすと、少女を殴った他の乗客と目が会う。彼は顔をしかめていた。握った拳を、下に振り下ろすふりをしてくる。お前も少女を殴れとのゼスチャーに見えた。
「ごめん。オレも、金、ないんだよ」
わからないのを承知でウソをつく。しかし、少女には意味が通じたらしい。
再び少女は、両腕にギュッと力を入れ、太郎の下半身に頭を押しつけてくる。感触はとても暖かくて柔らかい。そして、その感触が抵抗力を削いでいった。少女の腕をふりほどく事が出来なかった。
「へ、ヘルプミー」
お金を上げたい欲求を必死に抑えて、あたりを見回す。
しかし、周りの乗客は知らん顔を決め込んでいる。先ほどの男性だけが、顔をしかめて少女を睨んでいた。
「○○○○」
顔を股間に押しつける少女。くぐもった声で懇願してくる。
恥よりも気迫を感じ、決心が大きく揺らいだ。
「頼むって。おねがいだから」
少女の手を掴みはずそうとする。少女の手は、ぴったり体にくっついていた。力が入ってプルプルと震えている。
大きく、ため息をついた。
「○○○○」
少女が再度、同じ言葉でだめ押しする。
しょうがない。手が尻のポケットに回っ財布を引き出し、広げる。
ガタン。地下鉄の車体が、大きな振動を太郎に伝える。
プシューと扉が開き、見慣れぬ異国のホームが見える。
ふっと、手から財布の感触が消えた。
ダダダダダッ。
少女が車両から駅のホームへと飛び降りていた。勢いよく走っていく。
チラッと少女の小さな手が見える。彼女の手は、見慣れたボロボロの財布を握っていた。さっきまで太郎が持っていた財布だった。
「え、あ、ちょっ」
慌てて、太郎が足を一歩前に踏み出す。
プシューという音をたて、鼻先で扉が閉まる。
車内が爆笑で包まれる。
太郎は、扉に向かって手をかざした格好で、固まっていた。
「○○○○、○○○○」
皆が笑う中、ただ一人、先ほどの男が太郎に言葉を吐き捨てる。
「そっか。そうなんだ。殴ればよかったのか」
太郎は肩をふるわせながら、呟いた。
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●一行コンセプト
太郎が物乞いの少女に抱きつかれ、財布をひったくられて、正しい対処方を覚える話。
●起承転結
起 物乞いの少女に抱きつかれる太郎
承 男に殴るように勧められる
転 金を出そうとし財布を盗まれる
結 太郎は物乞いの正しい撃退法を覚える
●禁止事項
・4行以内に5W1Hを確定。
・時系列順にする。時間逆行禁止。
・重文、複文禁止。
・倒置法禁止。
・体言止め禁止。
・気弱語禁止。比喩禁止。
●時間
一時間
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