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1218 南国の話(仮) 短編の起 4/23 まこと |
2005/4/23(土)22:22 - まこと - 2662 hit(s)
南国の話(仮) 短編の起 4/23 まこと
亮介が島にきて三日たった。引っ越しの片付けは一段落ついている。夕方になると、することもなくなり、散歩に出てみることにした。
そして――迷子になった。
こじんまりした島なので、歩いても一週できると聞いている。
だから焦らなかった。曲がりくねった小道を、ぶらぶらと歩いていった。
「暑っちーなぁ、のど渇いちゃったよ」
島は東京からはるか南に位置している。南国の春は、連日、うだるほど暑かった。青い空には、入道雲まで浮かんでいた。
それでも、日陰はひんやりとしていて気持ちよかった。
うっそうと繁る木立なら、島内のいたるところにある。そこで涼をとることができた。
――海の匂いだ。
一息ついた亮介の目の前に、海が広がっていた。
まぶしい白の砂浜に、ブルーのおだやかな波が寄せている。
足を踏み出しかけて、先客を見つけた。
白のワンピースを着た少女だった。
波打ち際を横切って行く。
肩にかかる髪が風に流される。手で髪を押さえた拍子に、亮介のほうに顔が向いた。
ドキッとしたが、少女は気づいていないらしい。大きな瞳のその視線が、亮介を素通りしていった。
ワンピースはノースリーブで丈が短い。照りつける太陽が、褐色の肌をさらに焼いていた。
少女の両手にサンダルが提げられていた。裸足だ。ゆったりとした歩幅をとって歩いていく。
静かな波の音に、歌声が混じった。
少女が歌っているのだ。
亮介はふらふらと吸い寄せられていった。
すると、少女が立ち止まった。
緊張のあまり気を付けの姿勢になってしまう。しかし、少女は振り返らなかった。
――気づいてるんだよな。
声をかけようにも、言葉がでてこない。なんと声をかければいいのかもわからなかった。
肩にかかる少女の髪が、風に揺れている。ほのかに、甘い匂いがした。
よけいにドキドキして、のどがカラカラになる。
――なにか言わなきゃ。さぁ、言うんだ。言え!
亮介は口を開けた。なのに声は出なかった。
少女が歩きはじめた。
歌を口ずさんでいる。まるっきりなにもなかったようなそぶりだった。ふわりふわりと歩いて行く。
亮介は動けなかった。少女が、だんだんと小さくなっていく。時折、足取りが遅くなることはあったが、そのうち、カーブにそって見えなくなった。
亮介は少女のまなざしを思い出していた。
とたんに、頭の中が少女でいっぱいになる。
巨大な雲が目に入った。今を盛りと、大空をうめるいきおいでわき上がっていた。
起:引っ越ししてきた少年。少女を見かける。
・引っ越してきた少年
・そこは南の国である
・少女を見かける
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