〔前の画面〕
〔クリックポイント〕 〔最新の一覧〕
〔全て読んだことにする〕〔全て読んだことにして終了〕 〔終了〕
1223 「ひと足早い夏」 短編の転(リテイク) 5/2 まこと |
2005/5/2(月)21:59 - まこと - 2648 hit(s)
「ひと足早い夏」 短編の転 5/2 まこと
将矢は石垣に段ポールを立てかけた。それで、引っ越しの後片付けは完了だった。
東京からはるか南の島に来て、三日がたっている。
しずくが段ポールに線を描いた。将矢の汗だ。春だというのに真夏並の暑さだった。
「終わったよー。散歩に行っていいんでしょー?」
汗だくの父が縁側に出てくる。
「まっすぐ行くと海だぞー、行ってこーい」
行ってきますと手を振り返した。
待ちきれず、小道へ飛びだしていく。
道は土も砂も白い。ところどころにサンゴのかけらが転がっていた。
真っ青の空に、もくもくと巨大な雲がわきあがっている。
将矢はストレッチがわりに体を伸ばした。ちょっとした探検気分になっていた。
家の景色を覚えておこうと、あたりを見回す。
道ばたの木立は、葉が一メーターもあろうかという大きさだった。濃い緑の葉に、太陽がふりそそいでいる。
石垣の向こうに、オレンジ色の屋根があった。派手な色彩の風景という印象だ。
「よし、出発」
いさんで出かけたのだが、道はわかりづらかった。くねくねと曲がり、分かれ道も多い。
ほどなく迷子になった。
歩幅が短くなる。
Tシャツから出た腕がジリジリと日に焼かれた。
「だ、大丈夫だよなぁ」
こじんまりした島だと聞いている。どの道を通っても、歩いて海に行けるという話だった。
とりあえず進んでいく。
こんもりと繁る木立のトンネルがあらわれた。トンネルをくぐり、日陰に入る。ほどよい湿気でひんやりとしていた。気持ちいい涼しさだった。
ひと息ついてから、トンネルのなだらかなカーブを抜けた。
目もくらむ明るさだった。足を踏ん張って立った。日光の感触が肌に戻ってくる。
まっすぐに前を見る。
しずかな海が広がっていた。
さわやかな潮風が、汗まみれの将矢をなぜていく。ほんのり潮が香った。
白い小道が砂浜まで続いていた。ひろい砂浜だった。波はひくく、遠慮がちに寄せている。青い海と空の境は混ざり合ってわからない。そこへ、一段といきおいをつけた雲が浮かんでいた。
――だれもいない。僕だけの海だ。
だが、ひとり占めとはいかなかった。先客がいたのだ。
少女だ。
波打ち際を横切って行く。
ノースリーブのワンピースは丈が短い。褐色の肌を惜しげもなくさらしていた。
肩にかかる髪が風に流される。手で押さえた拍子に、亮介のほうへと顔が向けられた。
ドキッとしたが、少女は気づいていないらしい。
大きな瞳のその視線が、亮介を素通りしていった。
起:引っ越ししてきた少年。少女を見かける。
3時間
〔ツリー構成〕
-
-
-
-
- ┣【1221】 削除
-
┣【1223】 「ひと足早い夏」 短編の転(リテイク) 5/2 まこと 2005/5/2(月)21:59 まこと (2167) |
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
〔前の画面〕
〔クリックポイント〕 〔最新の一覧〕
〔全て読んだことにする〕〔全て読んだことにして終了〕 〔終了〕
※ 『クリックポイント』とは一覧上から読み始めた地点を指し、ツリー上の記事を巡回しても、その位置に戻ることができます.